ご挨拶
海星中学校・高等学校
校長 服部芳尚
海星高校同窓会の皆様にご挨拶申し上げます。このたび、校長の職を拝命しました服部です。同窓会の皆様より託されましたこの海星を永続的な学校にすべく、先の校長たちが進めて参りました学校改革が止まることなく、より一層充実すべく先生方と共に日々邁進しているところでございます。
海星中学・高等学校は、昨年から一部のコースで共学化を取り入れました。現在、中学校、高校合わせて、228名の女子が在学しており、その割合は全校生徒のおよそ22%に当ります。さらに、コースによっては、女子の方が多いところもあり、世間の海星に対する女子のニーズがいかに高いかが計り知れます。しかし、こうして多くの女子生徒に来ていただく事が出来たのは、歴史と伝統を形作ってきた、卒業していった多くのOBたちのおかげであると感謝しています。なぜなら、女子生徒にとって、海星がが安心して入学することができる学校であると判断できたのは、これまでの男子校としての海星の生徒が世間にたいして素晴らしい姿をアピールしてきたからに違いないと思うからです。
海星は共学になって、今までにない賑やかさは様々な学校生活の中で観ることができるようになりました。とは言うものの、男子校として卒業されたOBの方々にとっては、この共学化に対して、戸惑いと寂しさを感じられている方も見えるかもしれません。しかし、どんなに変わってもこれからも決して変わらないものがあります。それは、海星の根本であるカトリックミッションスクールとして建学の精神、「キリスト教世界観にのっとり、人類普遍の価値を尊重する人格の形成、高尚かつ有能な社会の成員を育成する」、この建学の精神は今なお脈々と受け継がれています。1597年に聖ヨゼフカラサンスはローマの広場で出会った粗暴な言動をとる貧しい若者達に言い知れぬ悲しみを覚え、彼ら達にこそ教育が必要だという思いから、無償の学校を創りました。その学校こそが海星の原点となっています。エスコラピオスというのは海星の経営母体である修道会の名前で、無償の学校という意味です。カラサンスがローマに開いた学校は、その後世界に広がり、現在では世界各国に200校近くとなっています。海星はその一つであり、すべての学校の校章は海星の校章と同じ紋章をしています。海星の卒業生は、エスコラピオスのファミリーであり、それは世界に広がっているという事に誇りを持っていただきたいと思います。
現在、急速に変化をし続ける日本の社会情勢を考えると、こんな時代だからこそミッションスクールの教育が必要とされていると考えています。この時代、忘れがちになってしまう「心」。海星は「人類普遍の価値」、「他者への思いやり」を大切にするミッションスクールです。海星が掲げる「心ある文武両道」は。同窓生の皆さんにとっては当たり前のことであると思いますが、学業にも部活動にもしっかり取り組み、さらに「心」を忘れないと言うことです。他者への思いやりを忘れず、たとえば試合なら勝敗は必ずいずれかにつくのですが、勝者となっても敗者である相手に思いをはせることができる、敗者となっても勝者を素直に称えることができる、その良き心をもってできることが大切と考えます。
これは、学習においても同様で、社会において自分の利益だけを考えるような人物とならないよう教育を進めなくてはいけません。このような良き心を持ち、社会に真に貢献できる人物を送り出し、海星高等学校同窓会の新しいメンバーとして迎えて頂くことができるように頑張りたいと思います。あと、数で、同窓会に、女性会員が加わることとなります。同窓会も雰囲気ががらりと変わることとなるでしょう。
今年度も、これまで多くの部活が活躍をして参りました。全国高校総体には、フェンシング、ボーリングが出場し、東海総体にはこれらの種目以外にバレーボール、柔道、空手、アーチェリーが出場致します。他の種目においても予選に敗れは致しましたが、今海星が目指す姿「心ある文武両道」をしっかりと体現し、ねばり強く戦ってくれています。女子の活躍もめざましく多くの活動で東海大会に駒を進めています。
中学校において、昨年度は、軟式野球部、フェンシング、水泳が全国大会に出場ということで先生方も引率に応援に忙しいけれど充実した毎日を送ることができています。そして、日々生徒から感動をもらい、力をいただいています。同窓会の皆様も時間の許す限り、後輩達の応援とご支援をいただければと思います。
今、少子化が進み、さらに経済的なこともあり中学校募集は全国的に厳しい状況にあります。都市部のこの情勢はすでにこの三重県に現れ、深刻な状況にあります。高校募集においても同様の問題がさらに大きくなると考えられています。海星高校は上記のような部活動の活躍と同時に、先生方の熱心な進学に対するサポートなど、海星の教育が徐々に評価をいただき、入学生を増やすことができています。しかし、今後少子化がどんどん進む中、入学生を増加させるということには不断の努力が必要とされてきます。単なる小手先の手法ではなく、じっくりと生徒を育てる教育を実践する事が第一と考え、またその実践を地域にしっかり示していくことが求められています。
一昔前は、子ども達の教育は学校に任されていましたが、今は、学校、家庭、そして、地域が協力し合って子ども達を支えていこうという流れになっています。海星も地域に愛される学校を目指しています。少子化が進む中、今後いつまでも海星がこの地域の人々から必要とされ、大切にされる学校となろうと生徒にも常に呼びかけています。「あいさつ」を大切にする海星は一定の評価はいただいてはおりますが、まだまだ地域の皆さんから見れば足らない部分が多々あると考えています。同窓生の皆さんは地域で海星の後輩を見る機会も多いと思います。是非、様々なご指導をお願い申し上げます。地域において、その社会の重要な成員となられています同窓生の本校へのご協力を今後とも是非お願いしたいと思います。昔、町内にいた、やたらと子ども達に説教をするやかましいおじさん、そういった人が実は現代社会においても重要であったりします。地域の同窓生の方にはそんな「口やかましいおじさん」的な存在になっていただければ幸いです。さらに、同窓生の皆さんには本校が推し進めています、探求学習の一環としたキャリア教育などの場面で学校から協力のお願いさせて頂くことも考えておりますのでその節にはよろしくお願い申し上げます。
最後になりましたが、平素より学園の運営に多大なご支援をいただいていますことを深く感謝し、お礼を申し上げます。今後とも、エスコラピオス学園海星中学・高等学校を温かく見守って頂きますようよろしくお願い申し上げます。
2022年6月